7.05.2012

透明なブルー

「機関銃を捧げ持った誰かが、終わらない夏休みの夢を見た」

覚えるくらい聞いてしまったCDが今日も
擦り減りながら回っている
歌詞カードはついてなかったけど
多分、間違いない

本当はその甘い声を直接聞きたいのだけれど
多分、無理。

行きたいな

行けばいいじゃない
と、
きっと喫茶店のマスターは言ってくれる






もの凄く綺麗な海の夢を見た

人工的な建物は何もなくて島の岩を穿った焦げ茶の道はキチンと透明なブルーの海へと続いていた
澄みすぎて遠浅に見える青の上に拡がる水色と白
その境に浮かぶ島の緑と船たちの白
島では日焼けが板に付いたおばさんやおばあさんや帰省中の息子達が
手作りの麦藁帽子や海とお日様を吸った板壁の家や黒い岩の貯め井戸やその中の大きくなった亀や
僕はそこで泳いだり潜ったり浮いたり船に乗ったり

薄く棚引く白が僕を切なくさせた
それより僕を切なくさせたのは
僕はここで死ぬ覚悟をしてしまったことだった
細かいことは忘れてしまったけど
これがあったら自殺する
と決めて来て
その通りになった

年老いた亀は見つかった
家族はそろそろ昼下がりのおやつに帰ってくる
止めてくる
僕はそれでも約束を守らなきゃ、
と思い
この透明なブルーにもっとずっといたい
と思い
一瞬のあとでこのブルーとも家族ともこの先ずっと会えなくなって暗闇だけ見て過ごすのに未練たらたらで
取り敢えずもう一回
島の穿った暗い岩を透明な午後のブルーへと降りて行く

この先ずっと
ずーっと
この青に
会えなくなる
それが僕を哀しくさせる
もし死後の世界がこんな平らかな透明なブルーだったら
僕はこんなに不安にならずに穏やかなきもちでいれただろう

夢の中の風は暖かく
磯の香りもしなかった

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