2.07.2013

ここのつきピース

朝、出掛けようとしたら靴紐が絡まって嫌になったんだ。駅に着いたら目の前で扉が閉まったんだ。並んでいたのに割り込まれたんだ。最後の席が埋まって、折角用意した傘を電車に忘れて、改札から出たら本降りになったんだ。コンビニでは小銭が1円足りなくて、買った豚まんはぬるくて、口笛吹きながら歩いてきたおじさんの煙草でマフラーに穴が開いて、蛍光灯が切れかかっていて、お気に入りのマグカップにはひびが入ってて、コーヒーが書類を駄目にしたんだ。嫌になった。嫌だった。こんな日嫌いだった。嫌いになった。こんな世界。こんな中にも、そこから外れたどこかに幸せのある世界が嫌だった。不幸に浸らせてくれないこの世界が嫌いだった。嫌いだった。嫌い。嫌い。嫌い。なのに、

レジを打って巻いたぜんまいの音が、
風が吹き抜けた銀杏通りが、
排気ガスに顔を顰めた猫が、

過ぎ行く街が9月になる
過ぎ往く人が9月になる
大好きだった夏が掻き消されて流されて9月になる
9月になる
9月になる
9月になる世界が僕を蹴っ飛ばしたんだ
(ピース)
全ての死んで往った偉人達にピースを
全ての名も無きミュージシャンたちにピースを
全ての日常を回している人たちにピースを
全ての非日常に翻弄されている人たちにピースを
全ての不幸に為り切れない幸福な人たちにピースを

ピースを!ピースを!!ピースを!!!