好きだ好きだ好きだと言い続けた人が齢を取って
嫌い嫌い嫌いと呟いていた自分もいつの間にか齢を取った
何度も何度も何度も会いに行った人が知らない内に齢を取って
自分で言っていたからハッピーバースデーを歌ってやった
そうやって回っていく
地球
は年を齢っていくの?
齢を取るってなんだっけ
昨日までの僕
と
今日からの僕
の間に違いなんてないぜ
誕生日に感動的な出来事がある訳じゃない
世紀末の愛の告白も
宇宙人の到来も
神からの啓示も
ミスドの100円均一さえ
誕生日ってのはきっと怠惰な僕らが毎日「生まれて来てくれてありがとう」を言わなくて良いように1年に1回おめでとうを言う日なんだ
人為的な日に奇跡は起こらない
だから自分たちでパーティーを開くんだ
あなたの近くにいられなくてごめん
何事もなく過ぎていく日だった
11.10.2012
複数人へ
久し振りに
きもちよく飲んで
きもちよく酔っぱらって
きもちよく吐いた
早くおうちに帰りたくて仕方なくなって拾ったタクシーの運ちゃんはご機嫌で深夜料金は割り引いてもらった
介抱してくれる人がいないからあの人の手を思い出して
「あの人」は年を追うごとに増えていく
それが
良いことなのか悪いことなのかはさておいて
あなた、きっとまだ生きているでしょう
僕の知らない街で知らない人と泣いたり笑ったり愚痴を言ったり呑んだり吐いたりしながら
まだ生きてくれているでしょう
分からなければ何の助けにもならないことだけれど
知ったところでどうにかなるものでもないけれど
昔話では顔くらい覗かせてやっても良い
あなた「何様だ」って顔をしかめますか
それとも「そうだな」って微笑みますか
それもきっとあなたによって変わる
事実
僕は、僕が、僕の、
僕の、話を聞いて
そう言い続けて何年にもなるけど
あなたまだ生きているでしょう
脱ぎっぱなしの服からは 鞄からも
昨日のアロマと煙草のにおい
そうやって
煙草のにおいが嫌じゃなくなってから
も
しばらく経ちました
きもちよく飲んで
きもちよく酔っぱらって
きもちよく吐いた
早くおうちに帰りたくて仕方なくなって拾ったタクシーの運ちゃんはご機嫌で深夜料金は割り引いてもらった
介抱してくれる人がいないからあの人の手を思い出して
「あの人」は年を追うごとに増えていく
それが
良いことなのか悪いことなのかはさておいて
あなた、きっとまだ生きているでしょう
僕の知らない街で知らない人と泣いたり笑ったり愚痴を言ったり呑んだり吐いたりしながら
まだ生きてくれているでしょう
分からなければ何の助けにもならないことだけれど
知ったところでどうにかなるものでもないけれど
昔話では顔くらい覗かせてやっても良い
あなた「何様だ」って顔をしかめますか
それとも「そうだな」って微笑みますか
それもきっとあなたによって変わる
事実
僕は、僕が、僕の、
僕の、話を聞いて
そう言い続けて何年にもなるけど
あなたまだ生きているでしょう
脱ぎっぱなしの服からは 鞄からも
昨日のアロマと煙草のにおい
そうやって
煙草のにおいが嫌じゃなくなってから
も
しばらく経ちました
11.08.2012
夜明け前(未完)
今日の空は何色でしたか
僕は誰よりも早く空の綺麗さに気付ける人でありたいのです
毎日毎日
朝と追いかけっこしてた
いつだって追い越すのは僕
このままいったら朝の何倍も早く年を取っちゃう
夜明け前の空が好き
半分夜を残したまままどろみを写して混ざっていくあをが好き
夜明け前の空気が好き
昨日の嫌なことは全部清算して今日の責任はまだ受けない
気まぐれで何考えてるか分かんない君が好き
ねえ僕は
君がくれるのが言葉でなくてもぬくもりでなくても良かったよ
近頃は日が暮れるのが早くなった
朝の逃げ足も随分と早くなった
大量に束ねた紙が一枚一枚と舞っていって
地図 みたいだ
ねえいつだった
追い越すのは僕だよ
なんとかなりそうなことと
なんともなりそうにないことを天秤にかけて
とりあえず ぜんぶ
あとまわし
そうやって夜が明けた後はいつもいつも
一人切り
風が唸ってる
昨日の咎を昨日に流して
今日の咎を明日に流して
僕らまだ
夢の中
あなたの詩に追いつく
少しの幸せ
夜が明けたらぜんぶ現実
それまでは
全部
夢
あなたのことは忘れない
でも
今
会いたいとは思わない
よ
今日のかみさまとひとりきり
夕方になって暮れると
この街は風が出て雨が降る
夜が明けて
風が吹いて
かみさま
を連れ去った
はじまり
僕は誰よりも早く空の綺麗さに気付ける人でありたいのです
毎日毎日
朝と追いかけっこしてた
いつだって追い越すのは僕
このままいったら朝の何倍も早く年を取っちゃう
夜明け前の空が好き
半分夜を残したまままどろみを写して混ざっていくあをが好き
夜明け前の空気が好き
昨日の嫌なことは全部清算して今日の責任はまだ受けない
気まぐれで何考えてるか分かんない君が好き
ねえ僕は
君がくれるのが言葉でなくてもぬくもりでなくても良かったよ
近頃は日が暮れるのが早くなった
朝の逃げ足も随分と早くなった
大量に束ねた紙が一枚一枚と舞っていって
地図 みたいだ
ねえいつだった
追い越すのは僕だよ
なんとかなりそうなことと
なんともなりそうにないことを天秤にかけて
とりあえず ぜんぶ
あとまわし
そうやって夜が明けた後はいつもいつも
一人切り
風が唸ってる
昨日の咎を昨日に流して
今日の咎を明日に流して
僕らまだ
夢の中
あなたの詩に追いつく
少しの幸せ
夜が明けたらぜんぶ現実
それまでは
全部
夢
あなたのことは忘れない
でも
今
会いたいとは思わない
よ
今日のかみさまとひとりきり
夕方になって暮れると
この街は風が出て雨が降る
夜が明けて
風が吹いて
かみさま
を連れ去った
はじまり
11.07.2012
新しい人
新しい人が来た
新しい人が来た
と思っていたけれど
もしかしたら知っている人なのかもしれない
人の顔も名前も覚えるのは苦手だ
相手が誰であったって会話はできる
子どもなら 特に
子どもの心を持った人だけが芸術の美しい部分を感じられるならば
1Kに住んでいたあの友人は子どもだったのだろうか
日常が制作に侵食されている彼女は
芸術家 には違いなかったけれど
新しい人が来た
新しい人が来た
と言っている内に季節は回って古い人になった
新しい人が来た
新しい人が来た
そう言って忘れられていった
大人 や 子ども
そう言って置いてきた
おとな や こども
は 今 どこにいますか
純粋な大人でも子供でもない
ぼくらは
新しい人 ですか
それとも
失敗した料理みたいに舌打ちひとつで捨てられる存在ですか
たしなみみっつで引き剥がされる子どもですか
前世での出会い や 約束 は
置いて来ました
新しい人が来た
と思っていたけれど
もしかしたら知っている人なのかもしれない
人の顔も名前も覚えるのは苦手だ
相手が誰であったって会話はできる
子どもなら 特に
子どもの心を持った人だけが芸術の美しい部分を感じられるならば
1Kに住んでいたあの友人は子どもだったのだろうか
日常が制作に侵食されている彼女は
芸術家 には違いなかったけれど
新しい人が来た
新しい人が来た
と言っている内に季節は回って古い人になった
新しい人が来た
新しい人が来た
そう言って忘れられていった
大人 や 子ども
そう言って置いてきた
おとな や こども
は 今 どこにいますか
純粋な大人でも子供でもない
ぼくらは
新しい人 ですか
それとも
失敗した料理みたいに舌打ちひとつで捨てられる存在ですか
たしなみみっつで引き剥がされる子どもですか
前世での出会い や 約束 は
置いて来ました
11.06.2012
お月様とチーズ
チーズタルトを頬張る様にそっと
齧りたいものがある
ねえそのジャガイモちゃんと芽欠いてあるかい
ねえその食事ちゃんと毒抜いてあるかい
暴力的なスピードで新幹線は走っていく
人を跳ね飛ばすスピードで今日も特急は超満員
じっと部屋に籠っているだけじゃ僕ら何処へも行けない
それなのにじっと「位置している」だけで地球の自転が公転が太陽周期が僕等を何千kmと運んでいるらしい
人間には追い付けないスピードで地球が去っていく
嗚呼
だから時は流れていってしまうのか
決して追い付けないスピードで
夜明け前が好きな詩人がいて
「一緒に夜明けを見に行こうか」
って言ったら
「あなたとは無理よ」
と笑われた
家に籠ってても何だって手に入るぜ
食べ物も本も情報も友達も
僕等何千kmも気の遠くなるような旅をしてる
吹っ飛ぶようなスピードで同じ場所に戻って来る/戻れない
彼女の好きなフレーズを口ずさんでそれでもやっぱり「あなたとは無理よ」って言われた
貴女今頃誰とお茶してる
貴女今何考えてるの
地球の裏側の珈琲飲みながら海の向こうのお菓子食べながら考えている
お月様
お月様
ブルーチーズって馬鹿にされたんだってね
チーズタルトを頬張る様にそっと
齧りたいものがある
齧りたいものがある
ねえそのジャガイモちゃんと芽欠いてあるかい
ねえその食事ちゃんと毒抜いてあるかい
暴力的なスピードで新幹線は走っていく
人を跳ね飛ばすスピードで今日も特急は超満員
じっと部屋に籠っているだけじゃ僕ら何処へも行けない
それなのにじっと「位置している」だけで地球の自転が公転が太陽周期が僕等を何千kmと運んでいるらしい
人間には追い付けないスピードで地球が去っていく
嗚呼
だから時は流れていってしまうのか
決して追い付けないスピードで
夜明け前が好きな詩人がいて
「一緒に夜明けを見に行こうか」
って言ったら
「あなたとは無理よ」
と笑われた
家に籠ってても何だって手に入るぜ
食べ物も本も情報も友達も
僕等何千kmも気の遠くなるような旅をしてる
吹っ飛ぶようなスピードで同じ場所に戻って来る/戻れない
彼女の好きなフレーズを口ずさんでそれでもやっぱり「あなたとは無理よ」って言われた
貴女今頃誰とお茶してる
貴女今何考えてるの
地球の裏側の珈琲飲みながら海の向こうのお菓子食べながら考えている
お月様
お月様
ブルーチーズって馬鹿にされたんだってね
チーズタルトを頬張る様にそっと
齧りたいものがある
11.04.2012
嫌ですの美学
ガレットを焼く
そっと閉じる音がする
ガレットを焼く
そっと閉じる味がする
シャットアウト
シャットアウト
シャットアウト!!
僕は星を飼っている訳ではないのだけれどそれが流れていくものであることを知っているので特に何も言わないのです
のです
の
で済めば良かったのに
ね
ねえ
ね、絵が見たいよ
君の
君の描く空が見たい
空、が恋しい
夏以外は窓を開けると寒いから嫌いです
身に覚えのないウイルス対策ソフトが警告文を発してくるので画面を開けるのは嫌いです
知らない人から迷惑メールが届くので携帯は嫌いです
君から掛かって来ないので電話は嫌いです
嫌いです
の、美学
なんて知らないのです
「物事の良い面をより多く感じて生きていたい、とか思っております」
誰かが言ってた
「僕」の中の何処かが言ってた
言ってた
よ
「夢中になるものが欲しい」
数ヶ月前に会った時もそれ言ってたねって行きずりの人が言ってた
言ってた
のです
のですで済まないものなのです
そんなものなのです、いまってのは
まったくもって面倒くさいものなのです
のですで済まないものなのです
もう嫌なのです
いやですの美学なんて知らないけど
シャットアウト
シャットアウト
シャットアウト!!
ガレットは時計ウサギが持っていきました
行きました
のです
そっと閉じる音がする
ガレットを焼く
そっと閉じる味がする
シャットアウト
シャットアウト
シャットアウト!!
僕は星を飼っている訳ではないのだけれどそれが流れていくものであることを知っているので特に何も言わないのです
のです
の
で済めば良かったのに
ね
ねえ
ね、絵が見たいよ
君の
君の描く空が見たい
空、が恋しい
夏以外は窓を開けると寒いから嫌いです
身に覚えのないウイルス対策ソフトが警告文を発してくるので画面を開けるのは嫌いです
知らない人から迷惑メールが届くので携帯は嫌いです
君から掛かって来ないので電話は嫌いです
嫌いです
の、美学
なんて知らないのです
「物事の良い面をより多く感じて生きていたい、とか思っております」
誰かが言ってた
「僕」の中の何処かが言ってた
言ってた
よ
「夢中になるものが欲しい」
数ヶ月前に会った時もそれ言ってたねって行きずりの人が言ってた
言ってた
のです
のですで済まないものなのです
そんなものなのです、いまってのは
まったくもって面倒くさいものなのです
のですで済まないものなのです
もう嫌なのです
いやですの美学なんて知らないけど
シャットアウト
シャットアウト
シャットアウト!!
ガレットは時計ウサギが持っていきました
行きました
のです
ささらい
こういうのを朝帰りって言うんだろうなあ多分違うけど
そんなことを思いながら
昨日居酒屋のカウンターで知り合ったばかりの人の自転車に揺られている
夜明け前
長かった一日をようやく終えて空き缶に終う
みたいな部屋から
これから始まる今日
へタイムトリップする
いま
夜明け前の肌寒い風が
昨日の酔いを昨日へと洗い流してくれれば良いのに
そんなことを考えながら
終わるはずのなかった色々なものが今へと続いていて
乗り損ねた電車を反対ホームから見送る
思いきり手を振ってやる
通勤用が起きるまでの電車を見送って地上にでれば魔法は解けて
ただただ
弱い僕がそこにいる
掴み損なった色んなものを
帰りたくなくてした大回りを
白日の下に晒して自分の眼だけ覆ってみる
君が目を合わせてくれないから君じゃない誰かを見なくて済むように
ずっと続く線路の上を走ってる
十七夜の月がにじみだしていて
終電を気にしていた昨日の人の言葉を思い出してる
「希望に満ちた朝」を暫く平行移動した後
夜明け
に背を向ける
「人生プラマイマイナスくらいがアタシには心地好いのよ」
と言っていた人の幸福な寝顔を想像してみる
AM6:05
また来る
夜
まで乾杯
乾いた脳ミソが
輝かしい昼間へと祝杯を挙げる
とスケジュール帳に書き込んでいる
できってしまったこんにゃくゼリーみたいにぶよぶよしたかじりかけの
朝
で
弛んだ体を星型に入れる
天窓から陽が差し込む家に
太陽熱給湯器がこしらえる朝食に
昼
がまどろんでいる間に
僕は君との逃避行を決行する
返信を削除した
そんなことを思いながら
昨日居酒屋のカウンターで知り合ったばかりの人の自転車に揺られている
夜明け前
長かった一日をようやく終えて空き缶に終う
みたいな部屋から
これから始まる今日
へタイムトリップする
いま
夜明け前の肌寒い風が
昨日の酔いを昨日へと洗い流してくれれば良いのに
そんなことを考えながら
終わるはずのなかった色々なものが今へと続いていて
乗り損ねた電車を反対ホームから見送る
思いきり手を振ってやる
通勤用が起きるまでの電車を見送って地上にでれば魔法は解けて
ただただ
弱い僕がそこにいる
掴み損なった色んなものを
帰りたくなくてした大回りを
白日の下に晒して自分の眼だけ覆ってみる
君が目を合わせてくれないから君じゃない誰かを見なくて済むように
ずっと続く線路の上を走ってる
十七夜の月がにじみだしていて
終電を気にしていた昨日の人の言葉を思い出してる
「希望に満ちた朝」を暫く平行移動した後
夜明け
に背を向ける
「人生プラマイマイナスくらいがアタシには心地好いのよ」
と言っていた人の幸福な寝顔を想像してみる
AM6:05
また来る
夜
まで乾杯
乾いた脳ミソが
輝かしい昼間へと祝杯を挙げる
とスケジュール帳に書き込んでいる
できってしまったこんにゃくゼリーみたいにぶよぶよしたかじりかけの
朝
で
弛んだ体を星型に入れる
天窓から陽が差し込む家に
太陽熱給湯器がこしらえる朝食に
昼
がまどろんでいる間に
僕は君との逃避行を決行する
返信を削除した
9.27.2012
Re: Re: 祝福
貴方との間に分厚い透明な壁が確かに見えて
僕は
泣くことすらできないまま
「音」を
聴こうとしていました
その帰り道
ふと寄ったスーパーで重い物ばかり買ってしまって僕はこんなにマゾだったかしら
代金が今日の電車賃より帰りのタクシー代より軽くて
今度は
少し泣きたくなりました
言いたいこと
も
書きたいこと
も
たくさんあったはずなのに全部忘れ去ってしまって
本気で悔しがることすらできないくらい大人になった自分を恨めしく思う
貴方は
貴方達はみんな
嘘吐きだから
前にも言ったことあるけど
僕は静かなロックのライブが好きなんだ
爆音の中無表情で立ち尽くして自分のことや未来のことや社会のことについて深く深く考えて
悩みが消えていく
音
ステージが近過ぎてせまってくる音を抱え損ねた
貴方との間に越えられない壁があって手を伸ばせば届く距離も引けば絞まるコードも拒絶感を増しただけ
僕はシャットアウトしたままです
本当に好きなものを好きだと言える世界だと良い本当に好きなものが分からないなら見つかるまで探していられる世界だと良い
貴方の曲を聞きながらそんなことを思った
曲、だった
詩
ではなく
それから洗面台に刷毛と歯ブラシが同居している美大の友人の詩をよもうと思った、なぜか
左手のスーパー袋はやっぱり重くて
流れていく言葉も音も何時か思い出したようにいきいきと蘇ってきて今は忘れ去って本気で悔しがれば良い
なんて思い切ることもできず
「心の柔らかい部分で聴いていって」
という言葉で固くなったガードのすきまからも裏側からも声が届かなくて
いつか分かる時がくるでしょう
ライブ音源が欲しいと思った
貴方が今まで出した詩集もCDも全部集めて暗記しても貴方は流れていってしまうから
今を切り取って変えてしまうから
いつまで経っても追い着けない
それでいい
ううん 追い駆けようとすらしてない
「次はどうやって愛すの?」
「僕たちはなんだかすべて忘れてしまって」
終わり、という音に魅かれる
エンドロールという言葉が好きだ
「失くしたことに人心地ついてまた『安心』を買う」
人はみんな終わりに向かって生きています 産まれ落ちたその瞬間から
死
に向かって生き続けています
真夏のエンドロールはとっくに流れ去ってしまって夏のエンドロールすらもう流れていない
貴方の書く詩が詠む詩があの詩のベクトルのままなら愛し続ける自信があるんだ
じゃあ貴方が変わってしまったら?
僕は貴方を好きでなくなるのだろう
か
圧倒的な大音量 響くことすら拒否してコーラスが入る
フリーズ
シャットアウト
強制終了致します
Yes or No ?
―強制終了します
貴方の声が聞こえない
笑っているの?
息ができない それでも
せめてこの夜は貴方に捧げようって思ったんだ
9.16.2012
無題
妖精、が見えた気がした。雨上がりの水溜まりに映った空がとても綺麗な午後。廊下で青いさざめきとすれ違った
気がしたんだけど振り返るといたのは知らない女の子たちでぺちゃくちゃ楽しそうにしながら僕なんか気付かず通り過ぎていく。遠近法でずっと伸びていくこの廊下の先が 永遠 に続いていれば良い。非常階段の柵から手を伸ばしたら何かが掴めそうな気がして、大切なものが落ちていった。巨大になり過ぎたビルの間で切り取られた空をながめるここはぽっかりとひらけていて、その狂った遠近感が街を支配している気がして、
とりあえず一服。
空から羽が落ちて来て天使が飛んだのかと思ったら真っ黒だった。平和の使いですらない鎮守の森の使いは案外近い屋上で僕を見て「ガァ――」と鳴いた
妖精、を見た気がしたんだ
雨上がりの街で、埃の積もった部屋で、薄暗いバーのカウンターで、海の上の雲の中で、渓谷を挟む山の中で、僕は、
置いていかれた、と思うのか、僕が置いてきた、と思うべきなのか、生き損なったまま休憩時間の終わりを気にいている僕は今、
生きてる
(umder50の「赤い飛行機」を「世界が平和になる日まで」と思い込んで
http://www.myspace.com/umder50/music/songs/59569499 )
気がしたんだけど振り返るといたのは知らない女の子たちでぺちゃくちゃ楽しそうにしながら僕なんか気付かず通り過ぎていく。遠近法でずっと伸びていくこの廊下の先が 永遠 に続いていれば良い。非常階段の柵から手を伸ばしたら何かが掴めそうな気がして、大切なものが落ちていった。巨大になり過ぎたビルの間で切り取られた空をながめるここはぽっかりとひらけていて、その狂った遠近感が街を支配している気がして、
とりあえず一服。
空から羽が落ちて来て天使が飛んだのかと思ったら真っ黒だった。平和の使いですらない鎮守の森の使いは案外近い屋上で僕を見て「ガァ――」と鳴いた
妖精、を見た気がしたんだ
雨上がりの街で、埃の積もった部屋で、薄暗いバーのカウンターで、海の上の雲の中で、渓谷を挟む山の中で、僕は、
置いていかれた、と思うのか、僕が置いてきた、と思うべきなのか、生き損なったまま休憩時間の終わりを気にいている僕は今、
生きてる
(umder50の「赤い飛行機」を「世界が平和になる日まで」と思い込んで
http://www.myspace.com/umder50/music/songs/59569499 )
9.01.2012
そうやって僕らいつまでも死にかけてるんだ
君はいつから大人になったの?
いつから大人になることを良いと思ったの?
そう、大人だから冷たい感じがする
僕、ちゃんと笑えてた?
右腕、
だけが死にかけている
窓が揺れた
電車の窓が揺れた午後の陽
揺れたのは沈丁花
ジャスミン
ラベンダー
咳が出る
狼みたいな真似をして
小学校の学級庭園の前
両腕だけで
嵐が来る夕方
遠吠えて夜の来る前に
紺色の中で長く長く
所詮他人事だろ
この世も仕事も何もかも
そんな声が聞こえる
そんな悲しいことを言わないで
こんなに胸が痛いのに
リセットボタンなんてないのに
高校生の頃読んでた小説の中で
言葉は暗号だった
より高次の教育を受けた人はより多くの情報を引き出せる
光彩が放つ パルス
綺麗だねって言われる度、あなたに見つけて欲しい
そんなことを思いながら
既に何者かではある昨日の僕が褪せていく
焦り
僕の神様は僕の前には現れない
林谷さん、貴方、なんの神様なんですか
かみさまはなんにもしてくれやしない
みんな言ってる
僕も知ってる
でも信じてる
何を?
ヨルムンガンド
ミドガルズオルム
世界蛇
空を飛べない僕らを
小学校の頃に一目惚れして集めた漫画は今でも
まだ 時が止まったまま
中学の頃好きだった人は
何処か 先へ
高校の頃愛した世界は
細胞膜一枚隔てた向こう側
僕、の側は
僕ひとり
まだ一人
桜に囚われないまま
海に魅せられないまま
夜景に墜ちることもなく
ただ 貴方の事を考えています
ひょっとしたら救えたかもしれない
あの日の僕
も
少しだけ
約束
あの山の上で会いましょう
風の吹きぬける緑の草原の中に点在する石灰岩の上で
空に手を伸ばして雲に乗る
それだけ
8.29.2012
みるめ
出会って別れてまた出逢って
段々みんないなくなって
みんな何所へ消えてしまったの?
(早く魂を売る術を僕に教えて)
此処まで来る人は中々いない
(僕だけ仲間外れにしないで)
墜ちてくるものもあんまりない
ここはとても静かで澱んで
(僕にも)
静かに澱んで
僕も何時までここにいるのか分からないけど
(早く浮上したい)
早く誰か来ないかな
反転
浮いたら 是 則ち 沈澱
リピート
(心に仮面をつける術を教えて)
みんなと一緒に笑っていたいのに
追いかけたら
みんな
も
やっぱり 独り だった
沈降
ホワイトスノウ
深海では死んだプランクトンが雪みたいに降ってとても綺麗だった
僕は幸せになりたかっただけ
海蛍
海水に触れると光る
僕は世界が閉じるのを見た
無音 が 痛 い く ら い だ
(さあ 瞳を閉じて)
※みるめ:海松/水松の別称。しばしば「見る目」にかけて使われる
海松色:黒みがかった萌葱色。木賊色。
段々みんないなくなって
みんな何所へ消えてしまったの?
(早く魂を売る術を僕に教えて)
此処まで来る人は中々いない
(僕だけ仲間外れにしないで)
墜ちてくるものもあんまりない
ここはとても静かで澱んで
(僕にも)
静かに澱んで
僕も何時までここにいるのか分からないけど
(早く浮上したい)
早く誰か来ないかな
反転
浮いたら 是 則ち 沈澱
リピート
(心に仮面をつける術を教えて)
みんなと一緒に笑っていたいのに
追いかけたら
みんな
も
やっぱり 独り だった
沈降
ホワイトスノウ
深海では死んだプランクトンが雪みたいに降ってとても綺麗だった
僕は幸せになりたかっただけ
海蛍
海水に触れると光る
僕は世界が閉じるのを見た
無音 が 痛 い く ら い だ
(さあ 瞳を閉じて)
※みるめ:海松/水松の別称。しばしば「見る目」にかけて使われる
海松色:黒みがかった萌葱色。木賊色。
8.27.2012
夢のよう
夏の日、
あの、夏の日
空が青く太陽がさんざめき緑が踊る
あの夏の日
が
夢のように終わろうとしている
スカイブルーの上の桃色の雲の上の金色の光
針葉樹の緑
奥の緑にだけ夢のように靄がかかって
雲と混じる
混じる夢のように
夢のように今日が終わる
君、
と僕
二人で歩いた
唯 歩いた
それは川沿いに
川のように
線路沿いに
流れるように
夢のように
夏の日
歌って
あの子に会えますように
あの人に会えますように
5年後
10年後
あの人たちが健やかでありますように
夢のように
夢のように
明日が始まりますように
あの、夏の日
空が青く太陽がさんざめき緑が踊る
あの夏の日
が
夢のように終わろうとしている
スカイブルーの上の桃色の雲の上の金色の光
針葉樹の緑
奥の緑にだけ夢のように靄がかかって
雲と混じる
混じる夢のように
夢のように今日が終わる
君、
と僕
二人で歩いた
唯 歩いた
それは川沿いに
川のように
線路沿いに
流れるように
夢のように
夏の日
歌って
あの子に会えますように
あの人に会えますように
5年後
10年後
あの人たちが健やかでありますように
夢のように
夢のように
明日が始まりますように
(モモンガビレッジの親子へ送る
僕はいつでも無事を祈っています)
旅中
汽車に乗って旅に出た
汽車に乗る旅に出た
どっちも正解
どちらも世界
ひとりで旅をした
僕はふたりだった
君と僕
振動の中で本を読んだ ずっと
時に眠り詩を読み空の美しさに目が眩んだ
僕と君
歩いて歩いて歩いて
旅をした
旅行
土砂降りも雷も暗闇も
変わってしまった自分
とか変わりつつある
僕とか
何年越しの夢
とか
遡る時
と
か
さ
目的地に行くのが旅行ですか
移動が目的なら旅ですか
どちらも真
どっちも僕
たまに詩を歌って妖怪が顔を覗かす
そんな瀬にいました
開き籠って僕は逃げて
逃げて逃げて
地の果てまで行けませんでした
それでも僕はまた旅に出るのです
7.21.2012
7.20.2012
7.17.2012
祭りの夜 (ただし早口で音読すること)
祈りを祈りを祈りを
祈りを祈りを祈りを
祈りを祈りを祈りを
画面一杯の祈りの文字
病んでいる訳でなく
そうきっと
病んでいる訳でなく
悪マよ
キスしてください
僕を愛して
何故貴方の
あの詩が好きか
なんて分からないのだけれど
始めは違和感があって
次に苦しげな貴方を抱き締めたくなって
最後に訳も分からず涙が出る
全然美しくない涙が出る
んだよ
許して愛して
こんな酷い顔だけど
僕も踊るよ
歌わせて
君に
ねえ
お願いだから
ここにいさせて
今だけ
ねえ
今日は
裏路地を沢山歩いたんだ
人が沢山いた
炎天下の大通りにはいなかったのにね
裏路地のかみさまが微笑んだ
手作りノートの店
風呂敷専門店
京町屋のカフェー
庭の奥の神社
小さな小さなライブハウス
の中のミラーボールとギター
貴方が踊ってる
とても楽しそうに
僕も踊ってる
とても楽しそうに
貴方の眼の中に僕がいなくても
今日は祭りだ
裏路地の祭りだ
ミラーボールの届かないところで
沢山の人が
鐘と太鼓の音を聞いた
ステップ踏んだ
少女の横をハワイアンが通った
セットリストは貰い物のメモ帳の上
祭りだ
踊ろう
僕も踊るから
許して愛して
そして
愛してる
(不特定多数への愛しては別に恋愛のソレじゃあない
唯自分を認めて欲しいだけの祈りだ
君を愛してあげる だから僕も許して愛して
(認めて 助けて)
そんな 祈り)
7.05.2012
透明なブルー
「機関銃を捧げ持った誰かが、終わらない夏休みの夢を見た」
覚えるくらい聞いてしまったCDが今日も
擦り減りながら回っている
歌詞カードはついてなかったけど
多分、間違いない
本当はその甘い声を直接聞きたいのだけれど
多分、無理。
行きたいな
行けばいいじゃない
と、
きっと喫茶店のマスターは言ってくれる
もの凄く綺麗な海の夢を見た
人工的な建物は何もなくて島の岩を穿った焦げ茶の道はキチンと透明なブルーの海へと続いていた
澄みすぎて遠浅に見える青の上に拡がる水色と白
その境に浮かぶ島の緑と船たちの白
島では日焼けが板に付いたおばさんやおばあさんや帰省中の息子達が
手作りの麦藁帽子や海とお日様を吸った板壁の家や黒い岩の貯め井戸やその中の大きくなった亀や
僕はそこで泳いだり潜ったり浮いたり船に乗ったり
薄く棚引く白が僕を切なくさせた
それより僕を切なくさせたのは
僕はここで死ぬ覚悟をしてしまったことだった
細かいことは忘れてしまったけど
これがあったら自殺する
と決めて来て
その通りになった
年老いた亀は見つかった
家族はそろそろ昼下がりのおやつに帰ってくる
止めてくる
僕はそれでも約束を守らなきゃ、
と思い
この透明なブルーにもっとずっといたい
と思い
一瞬のあとでこのブルーとも家族ともこの先ずっと会えなくなって暗闇だけ見て過ごすのに未練たらたらで
取り敢えずもう一回
島の穿った暗い岩を透明な午後のブルーへと降りて行く
この先ずっと
ずーっと
この青に
会えなくなる
それが僕を哀しくさせる
もし死後の世界がこんな平らかな透明なブルーだったら
僕はこんなに不安にならずに穏やかなきもちでいれただろう
夢の中の風は暖かく
磯の香りもしなかった
覚えるくらい聞いてしまったCDが今日も
擦り減りながら回っている
歌詞カードはついてなかったけど
多分、間違いない
本当はその甘い声を直接聞きたいのだけれど
多分、無理。
行きたいな
行けばいいじゃない
と、
きっと喫茶店のマスターは言ってくれる
もの凄く綺麗な海の夢を見た
人工的な建物は何もなくて島の岩を穿った焦げ茶の道はキチンと透明なブルーの海へと続いていた
澄みすぎて遠浅に見える青の上に拡がる水色と白
その境に浮かぶ島の緑と船たちの白
島では日焼けが板に付いたおばさんやおばあさんや帰省中の息子達が
手作りの麦藁帽子や海とお日様を吸った板壁の家や黒い岩の貯め井戸やその中の大きくなった亀や
僕はそこで泳いだり潜ったり浮いたり船に乗ったり
薄く棚引く白が僕を切なくさせた
それより僕を切なくさせたのは
僕はここで死ぬ覚悟をしてしまったことだった
細かいことは忘れてしまったけど
これがあったら自殺する
と決めて来て
その通りになった
年老いた亀は見つかった
家族はそろそろ昼下がりのおやつに帰ってくる
止めてくる
僕はそれでも約束を守らなきゃ、
と思い
この透明なブルーにもっとずっといたい
と思い
一瞬のあとでこのブルーとも家族ともこの先ずっと会えなくなって暗闇だけ見て過ごすのに未練たらたらで
取り敢えずもう一回
島の穿った暗い岩を透明な午後のブルーへと降りて行く
この先ずっと
ずーっと
この青に
会えなくなる
それが僕を哀しくさせる
もし死後の世界がこんな平らかな透明なブルーだったら
僕はこんなに不安にならずに穏やかなきもちでいれただろう
夢の中の風は暖かく
磯の香りもしなかった
7.04.2012
ささやく
朝、洗い物をしながら、あの人の声を聞いていた
水音の分だけ聞きとれなくなる言葉が少し悲しくて
水音の分だけあの人は声を張り上げた
結構大きな音だから
隣の部屋の人に迷惑をかけてやいないかしら
と僕は今日も少し心配をして
でも、音量はそのまま
手も、濡れてるしね
出発まで、
あと5分。
今朝はあんまり食べられなかったな
って思った
もっとお腹に入れなくちゃ
とは思うのだけれど
食べるものも無かったし
食べる気もしなかった
きっと昨日の深夜にカレーを作ってもらったせいだ
その人は自分はあんまり食べないくせに
僕のご飯はたっぷり盛った
そして僕より後に食べ始めて
これ、不味いな!
と言って食べるのを止めた
長い話をしよう
そう言ってCDは終わった
出発予定時間は過ぎていて
僕は流しの掃除まで終わっていた
7.01.2012
6.30.2012
おとしもの
街を歩いていると夜が落ちていた
そんなに色とりどりにした積もりもないのに点々と
仕方がないので僕はそれを拾いながら
一方通行の大通りの脇の歩道を千鳥足
嗚呼知り合いが見たらなんと言うかしら
夜を落としてふらり
ふらり
昼を落としてひらり
ひらり
流れ星が哭いて
夢が墜ちた
ふぅわりひらり
宙を舞う
三階から飛んでったとりどりの紙が
風に挨拶してスカーフ揺らす
ふぅわり ひぃらり
よるのまち
夢を拾って飛んでった
僕は少年の画を買いそびれたから
通り過ぎるはずの喫茶店で3つばかし詩を書いた
何処かに落ちてやいないかしら
と、
それから僕は
お月様の欠片を探した
赤色が現れて隠れるまで
ぴりりと音がして
構わずぴりりぴりりとやっていると
皮膚から血が出ていた
熱湯の滝が顔をしかめるくらい沁みた
透明なお湯に浸かって
この前友人とtwitterで交わした会話を思い出してる
意味の無いことにも意味があると信じたい
例えば
今日買えなかったTシャツとか
今日した無駄遣いとか
そこのパニーニがすごく美味しかったこととか
足の指先が熱をもって
かかとがふやけて破れる頃
血は綺麗に止まっていた
6.26.2012
6.25.2012
6.24.2012
お茶と未来
お茶だけ淹れていこう
世界平和の、食糧の事なんて考えなくて良いから
遠い国のお茶を淹れてあげよう
南の国や北の国、どれが良い?
お茶だけ飲んで生きて行こう
夕飯の心配なんてしなくて良いから
そんでもって少しだけ未来の話をしよう
今日は豆乳でほうじ茶ラッテを作ってみたんだ
ちゃんと泡立て器も使って泡も乗せて
クラッカーも付けてあげる
熱いから気を付けてね
詰め替えたばかりの蜂蜜と買ったばかりのてん菜糖とどっち使う?
……ってほら、言わんこっちゃない
喫茶店の隅のいつもの席でさ、今日もお茶だけ飲んでいこう
好きなCDを掛けてもらって絵を眺めて
そんでもって君の好きな未来の話をしようか
6.19.2012
ばいばい さよなら またね 愛してる。
ばいばい
さよなら
またね
愛してる。
じゃあね。から始まる文章を僕は知っている
覚えてはいない
では。で終わる文章を僕は知っている
覚えてる
風が吹いてきたよさよならの風
朝陽が山から風を連れてきた
雨が降ってきたよ嵐の雨
何かが始まる予感をもってきた
じゃあ、またねを言おうか
旅人の君は旅をしている
村人の僕は村に住んでいる
そんなこと、誰が決めたの
猟師は山の中
漁師は海の中
旅人は森の中
村人も森の中
木洩れ日の中
じゃあね。から始まる文章を僕は知らない
覚えてない
では。で終わる文章を僕は知ってる
覚えてはいない
ばいばい
さよなら
またね
愛してる。
さよなら
またね
愛してる。
じゃあね。から始まる文章を僕は知っている
覚えてはいない
では。で終わる文章を僕は知っている
覚えてる
風が吹いてきたよさよならの風
朝陽が山から風を連れてきた
雨が降ってきたよ嵐の雨
何かが始まる予感をもってきた
じゃあ、またねを言おうか
旅人の君は旅をしている
村人の僕は村に住んでいる
そんなこと、誰が決めたの
猟師は山の中
漁師は海の中
旅人は森の中
村人も森の中
木洩れ日の中
じゃあね。から始まる文章を僕は知らない
覚えてない
では。で終わる文章を僕は知ってる
覚えてはいない
ばいばい
さよなら
またね
愛してる。
6.11.2012
5.31.2012
5.30.2012
少年と夢
少年がいる
厚紙で作った飛行機を追い掛けた少年が
金色の叢の中に立ち尽くしている
演劇の幕を読むような描写を含めた詩を
現実と空想と回顧と虚構の入り雑じった不条理演劇のような詩を読もうと思う
前回の復習をします
演出が声を上げる
燃えた家は何度だって復元される
被害者は何度だって甦る
だってそれがお芝居だから
幕が降りたら、そこは……
野に白い花が咲いている
上手から入ってきた狩人は獲物を探して空を見上げる
少年が下手からその様子を窺っている
金色の叢の中で家が燃えている
金色と朱色の炎を上げて燃えている
火はすぐに草原に移り、少年は駆け出した
夢はいつだって良いとこどり
同じシーンの繰り返し
僕は勇者
森の獣や鳥たちを狩人から救った勇者
なのに涙が止まらないのは何故だろう
僕は勇者
みんなを魔の手から救った勇者
なのに誰もいないのは何故だろう
こんなに寂しいのは何故だろう
テレビが燃えている
ナトリウムの黄色やカルシウムの橙色が燃えている
箱の中にいるのは誰
幕に囚われたのは誰
僕は勇者
みんなを救った勇者
なのに救われなかったのは誰
5.26.2012
しをうたう
パーティーが終わった夜に
誰かが死んじまったそんな夜に
僕は君に詩を謡う
パーティーが終わった夜に
何かが死んじまったそんな夜に
僕は君のために泣いてあげるよ
詩なんてものは歌うもんじゃなくてさ
勝手に浮いて来るもんでさ
だから僕はこんなところに書き散らして
紙とペンを持たないから泡沫は流れて言って
「パーティが終わった夜に、酔っぱらってねむっちゃった夜に、」
ってさ、僕の好きな詩人は謡うんだ
始まりしか覚えてなくて終った余韻しか覚えてなくて
見返してみたら唯の真似事になっていた
パーティーが始まった夜に
誰かが壊れちまったそんな朝に
僕は君のために歌ってあげるよ
誰かが死んじまったそんな夜に
僕は君に詩を謡う
パーティーが終わった夜に
何かが死んじまったそんな夜に
僕は君のために泣いてあげるよ
詩なんてものは歌うもんじゃなくてさ
勝手に浮いて来るもんでさ
だから僕はこんなところに書き散らして
紙とペンを持たないから泡沫は流れて言って
「パーティが終わった夜に、酔っぱらってねむっちゃった夜に、」
ってさ、僕の好きな詩人は謡うんだ
始まりしか覚えてなくて終った余韻しか覚えてなくて
見返してみたら唯の真似事になっていた
パーティーが始まった夜に
誰かが壊れちまったそんな朝に
僕は君のために歌ってあげるよ
5.04.2012
2.20.2012
夢の終わりの始まりの夜の夢
メビウスの輪みたいな世界だ
君は言った
僕の歌
始まりに戻るのにそこは違う世界
君の描く絵は光り過ぎて僕には分からない
白いキャンバスに白い絵の具を落として行く
天使の忘れ物なんだ
君が笑う
僕も笑う
それは
夢の終わりの始まり
君は言った
僕の歌
始まりに戻るのにそこは違う世界
君の描く絵は光り過ぎて僕には分からない
白いキャンバスに白い絵の具を落として行く
天使の忘れ物なんだ
君が笑う
僕も笑う
それは
夢の終わりの始まり
1.06.2012
1.05.2012
それは幼い日の記憶
「ねぇ、 は木登りが得意だったよね? じゃああの花を取れる?」
村外れの森の中でその少年が指したのは茶色くて細くてそのくせひょろひょろと長いしなやかさの感じられない木の上の方に一輪だけ咲いている黄色い花だった。
その国の殆どの人が着るのと同じ麻のごわついた服を着た訛りの強い少年は俺と特別親しい訳でもなかったが、その時はなぜだか二人だけでそんな場所にいた。
「取れる訳ねぇだろ。木が折れちまう」
「じゃあ僕がやってみるね。目を瞑ってて」
少年はそう言うと木の根元で笑った。
「もう良いよ」
暫くして少年の声がして目を開けると確かに少年の手には黄色い花があり、木の上の花は無くなっていた。
だが、俺は約束を違えてうっすら目を開けて見ていた。俺が目を瞑ったのを確認すると重力など存在いかのようにふわりと宙に浮き、花を取って少年が降りて来る様を。
俺がその後どう応えたのか、少年がどうしたのかは覚えていない。
俺は間もなく一座と共にその国を出て、その国の人がみな飛べたのだと知ったのはずっと後になってからだった。なんとなく隠されたその能力の情報はやがて噂となり争いの種となり、住民は何処かへ消えてしまって国は滅んだ。
もしかしたら今は空の上でこちらの世界を見降ろし笑っているのかもしれない。内緒だよ、と宙に浮きながら。
村外れの森の中でその少年が指したのは茶色くて細くてそのくせひょろひょろと長いしなやかさの感じられない木の上の方に一輪だけ咲いている黄色い花だった。
その国の殆どの人が着るのと同じ麻のごわついた服を着た訛りの強い少年は俺と特別親しい訳でもなかったが、その時はなぜだか二人だけでそんな場所にいた。
「取れる訳ねぇだろ。木が折れちまう」
「じゃあ僕がやってみるね。目を瞑ってて」
少年はそう言うと木の根元で笑った。
「もう良いよ」
暫くして少年の声がして目を開けると確かに少年の手には黄色い花があり、木の上の花は無くなっていた。
だが、俺は約束を違えてうっすら目を開けて見ていた。俺が目を瞑ったのを確認すると重力など存在いかのようにふわりと宙に浮き、花を取って少年が降りて来る様を。
俺がその後どう応えたのか、少年がどうしたのかは覚えていない。
俺は間もなく一座と共にその国を出て、その国の人がみな飛べたのだと知ったのはずっと後になってからだった。なんとなく隠されたその能力の情報はやがて噂となり争いの種となり、住民は何処かへ消えてしまって国は滅んだ。
もしかしたら今は空の上でこちらの世界を見降ろし笑っているのかもしれない。内緒だよ、と宙に浮きながら。
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