昨日の私の続きは今日の私じゃないなんてそんなことを考えてた
だって僕がいるからね
バイト帰りの夜の空気は冷たく、隠すことの叶わぬ顔面の体温を奪って行った
ずっと上り坂を自転車で上っていると息が上がり、同時に体温も上がって来る
初めは散り残った木の葉が風に飛ばされているのだと思った
街灯の下で白くなった息を自覚する
さらにはらはらとゴミのようなものは降って来る
風華だと思った
すぐにそれは視界一面の白と化す
朝の暖房が切れた途端の部屋の寒くなり様を思い出す
夏は暑く冬は寒く自然のままに
たとえそれが自分に仇為すものだとしても
降りしきる雪に我慢できずに坂の途中で自転車を止める
街灯に照らされてあとからあとから何かが散る
分厚い手袋を外しても上がった体温が白い物を受け止めることを拒んだ
昼間は決して積もろうとしなかった雪がコンクリートに白い痣を作る
自分の厚手の黒のコートにも白い斑が生まれる
走り出せば雪片が顔にぶつかって来てこそばゆい
雨の日は走る気がしないが雪は別だ
足は冷えて既に感覚が無くコートの下は守られたように暖かい
終わらない夜の様に此のまま冷たい白い布団に入ってしまおうか
と少し本気で考えた
そんなクリスマスの夜
(『終わらない夜』セーラ・L・トムソン作 ロブ・ゴンサルヴェス絵 金原 瑞人訳 ほるぷ出版)
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