月待者
自分が此処に居たと云うことを忘れてしまうような
1.08.2011
僕は友達。
村外れに子どもが居た。繰る日も繰る日も同じ所に居た。村人は尋ねた。
「何をしているんだい?」
「友達を待ってるの」
子どもは誰に対しても同じように答えた。繰る日も繰る日も村人たちは通り過ぎた。
或る日旅人が通り掛かった。
「何をしているの?」
「友達を待っているの」
「なんていう名の友達?」
子どもは其の名を口にした。旅人は笑いながら言った。
「なんだ、其れは君の事じゃないか」
その旅人が村を訪れることはなかった。
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