君の街についての考察を教えて欲しい
僕は湖に浮かぶ月になりたい
いつまでもそれを眺めていたい
誰かが掬っても通り抜けていたい
誰かに救い上げられるぬいぐるみでありたい
あなたに食べられるホットケーキでありたい
それは拙い妄想かもしれないけれど
君の街についての考察を教えて欲しい
叫びたかった何が何だか分からないまま
君の街についての考察を教えて欲しい
街はまだ晴れていた
街はまだ晴れていると言っても良かった
台風の前 渦巻く雲 飛び立った同僚
街はまだ晴れていた
君の街についての考察を教えて欲しい
人は歩いていた
街は流れていた
掃ったパン屑は鳥の餌
君の街についての考察を教えて欲しい
街はまだ動いていた
ビル向こうの電車もバイパスも
高層ビルの間の風切音も
中庭の葉擦れの音も
上空のヘリも
金属製のベンチに映る人の影も全部
混ざって街はまだ動いていた
君の街についての考察を教えて欲しい
どうしてこんな所にいるのか分からなくなるのだけれど
どこか行きたい場所がある訳でなく
どこか行ける場所がある訳でなく
(僕は自分の望む所まで来てしまった)
どこにいるかではなく誰といるかの方が重要なんだって気付いてた
人は変わっていくけど
場所も変わっていくけど
君の街についての考察を教えて欲しい
君の街についての考察を教えて欲しい
吹き抜ける風
赤くなったサルビア
街はまだ動いていた
僕という存在を呑込んで
君の街についての考察を教えて欲しい
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