月待者
自分が此処に居たと云うことを忘れてしまうような
10.03.2011
――咲き誇る国――
その国ではどの家も事務所も入口の扉に花輪を飾っていた。
「歓迎の印なんだ」
案内役の男は言う。
「みんな競って好きな物を作る。ずっと掛けてる家もあればどんどん変えてく家もある。最近は売ってるのを買う人もあるけど、殆どみんな自分で作るよ」
中華料理屋さんは大きな赤い輪、新婚の家はピンクと黄緑のハート形。あの家は青、こっちは白。あの家は子どもが作るから不格好。
「誇りみたいなもんだからね。この国の人はみんな仲が良い」
君にもあげよう、と男は小さな七色の花輪にヒモを通して私の額に付けた。
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